広島県福祉事業団の新たな取り組み 社会福祉法人広島県福祉事業団 理事長 菊間 秀樹

 令和2年度最初の専門家コラムは、広島県社会福祉事業団理事長 菊間秀樹さん(元広島県健康福祉局局長)にご寄稿いただきました。心より感謝申し上げます。

 

 広島県社会福祉事業団は、施設の運営以外にも在宅支援に関わる事業等にも取り組んでくださっています。

 

 ここすまネットも事業団のお役に立てるようでありたいと思っています。

 

 

 

 寄稿のご依頼をお引き受けしたものの「専門家コラム」というタイトルにいささか気後れしています。執筆している現在、新型コロナウィルスの感染拡大は世界中で勢いを増すばかりで、広島県福祉事業団でも「スポーツ交流センター」を臨時休館にしているほか、5月の開催に向け「わかば療育園」を中心に準備を進めていた「令和2年度日本重症心身障害者福祉協会全国施設協議会」が中止になるなど、大きな影響を受けております。早期の終息を願ってやみません。

 

 さて、当事業団では県立施設を指定管理者として運営しておりますが、本稿では、令和2年度から新たに取り組む事業について紹介させていただきます。

 

 一つ目は、医療型児童福祉施設の整備事業です。老朽化が進んでいる「わかば療育園」をリハビリテーションセンター内に新築移転するとともに、「若草療育園」、「若草園」についても改修・増築を行います。

 この整備により、多人数部屋の解消、病床面積の拡大、空調の個別化など療養環境の改善を図るほか、今後も増加が見込まれる在宅の重症心身障害児(者)への支援機能を強化するため、短期入所定員の拡充(わかば療育園定員5人→8人、若草療育園定員5人→7人)、NICU退院児や重症心身障害児の受入体制強化のための医療用配管の充実等を行います。

 「新わかば療育園」の整備を令和2年度後半から開始し、令和5年度までに順次3施設を整備する予定です。ハードの整備もさることながら、より皆さまのニーズに沿った施設運営を目指し知恵を出していきたいと考えておりますので、皆さまからのご意見を是非賜りたいと考えております。

 

 もう一つは、医療的ケア児等在宅生活支援事業です。医療的ケアが日常的に必要な障害児が増加する中、当事業団では平成30年度から医療的ケア児等への支援を総合調整するためのコーディネーターの養成に取り組んでまいりました。一方、医療的ケア児等に対して、保健、医療、福祉、教育等各分野の関係者によるライフステージに応じた支援が必要とされる中で、関係機関が連携する仕組みが確立されておらず、医療的ケア児等と保護者の負担が大きく、孤立しがちだという課題がございます。このため、医療的ケア児等支援者のネットワーク化と人材育成を一体的に実施する拠点機能を整備する県の事業を受託する予定です。 

 

 まずは体制整備に着手し、医療的ケア児等に対応できる地域資源の把握、コーディネーターのネットワーク化やフォローアップ研修の企画・開催等、具体的な事業展開を進めて参ります。福祉・医療の連携に向けた多職種のネットワークづくりなど「ここすまネット」さんの活動を大いに参考にさせていただきつつ、密接に連携して、笑顔の輪がますます広がるよう取り組んでまいります。