医療的ケア・重症心身障害児者の在宅支援 ~平成18年度と29年度のアンケート調査の比較~ 広島県健康福祉局長 田中 剛

 広島県健康福祉局長 田中局長さんは、厚生労働省からご出向で広島に来られ、施設のご視察をしてくださるなど、広島の現状の把握に努め、ご尽力くださっています。

 専門家コラムへの寄稿も快くお引き受けくださり、心より感謝申し上げます。

 

 

 


 

 

 

 この度は、専門家コラムに寄稿する機会をいただき、ありがとうございます。

 関係者の方や保護者の方は、医療的ケアが必要な児童が増加していることは実感されていることと存じます。厚生労働省の調査研究事業においても、ここ十数年で、全国の医療的ケア児が2倍以上、自宅で人工呼吸器を装着している児童は16倍に増加していると推計されています。それでは、広島県の状況はどうでしょうか。

 

 ここに二つのアンケートがありますので、ご紹介いたします。

 まず、平成18年度、「広島県重症心身障害児(者)を守る会」様が、在宅会員を対象にアンケート調査を実施されました。施策に活かすよう県に提供されたもので、当時の状況を示す貴重な資料です。一方、平成29年度、広島県が第5期障害福祉計画・第1期障害児福祉計画を策定するため、各市町にご協力いただき、全県的なアンケート調査を実施いたしました。

 これを、本人の年齢構成、主たる介護者の年齢構成、必要な医療的ケアの種類等の3点で比べてみます。

 

 本人の年齢構成ですが、他の年代と比較し10歳以下の児童の増加が伺われるとともに、大人の方が在宅に多数おられることが明らかになりました。

 

 

 主たる介護者の年齢構成でも、介護者の高齢化が見て取れます。

 

 

 必要な医療的ケアの種類等では、医療的ケアが必要な方の割合が増加するとともに、人工呼吸器を使用する方の割合の増加が顕著です。

 

 平成18年度調査の回答数は183、平成29年度は630。調査の範囲や回収率、設問の設定など調査方法が異なるため、厳密な比較はできませんが、医療的ケア児の増加と障害者の高齢化・重度化、介護者の高齢化の傾向が表れております。

 このような状況に対応するため、広島県といたしまして、在宅支援に不可欠な看護・介護職員の人材養成に取り組むほか、県立医療型障害児入所施設整備事業において短期入所定員の増加など在宅支援機能強化を図ることとしております。

 引き続き、医療的ケア・重症心身障害児者とご家族の支援に取り組んで参りますので、よろしくお願いいたします。