【連載 ばぁばみちこコラム】第七回 こどもの事故―転落・転倒―  子どもは好奇心や冒険心が旺盛で、高いところが好きです 広島市民病院 総合周産期母子医療センター 元センター長 林谷 道子

 

 子どもはベッドから転落したり、よちよち歩き始める頃にはつまずいてよく転んだりします。大人はとっさに手をついて頭や体を守りますが、子どもはバランス感覚が十分に発達しておらず、体に比べて頭が大きくて重いため転びやすく頭や体を強く打つことがあります。

 月齢が低い赤ちゃんではベビーベッドやベビーカーなどからの転落がみられますが、1歳を過ぎて行動範囲が広がると、いすの上や階段、ベランダの柵を越えるなど、どんどん危険な場所が増えていきます。まわりの大人は子どもが事故にあわないようにあらかじめ予防することが大切です。

 

「乳幼児の転落・転倒の危険」について、平成 26 年に東京都生活文化局消費生活部がインターネットをつかってヒヤリ・ハット調査を行っています。ヒヤリ・ハットとは、重大な事故には至らなかったが、事故に直結してもおかしくない一歩手前の状態を示します。

 調査の対象となったのは、東京都に住む乳幼児を育てている保護者 3,000 人で、そのうち2,513人(84%)が、子どもの転落・転倒の経験があると答えており、子どもの転落・転倒の危険は身近なものであるといえます。

 

 転落・転倒が起こりやすい場所としてはソファーや椅子など、高いところからの転落・転倒が多く、次いで床のフローリングでの事故が多く見られています。また、階段や水にぬれている浴室も転落・転倒に注意が必要です。

 

 

 転落や転倒が起こった、起こりそうになった年齢は「1 歳」が6,621 件と最も多く、2 歳以降は大きくなるにつれ減る傾向にあります。安定した歩行が十分でないよちよち歩きの1歳前後から2歳での事故が最も起こりやすく、子どもから目を離さないなどの注意が必要です。

 

子どもの転落・転倒を予防するための注意点

 

①高いところ

 家の中では階段、ソファやベッド、ベランダ、屋外ではベビーカーや自転車の補助椅子、ブランコやすべり台など、高いところからの転落事故が後を絶ちません。

 子どもが幼い頃には室内の階段には転落防止用の柵をつけましょう。また、ベランダにエアコンの室外機やビールケースなどが置かれていると、子どもがよじ登るので大変危険です。

 ベビーカーや自転車の補助いすに子どもを乗せる時にはシートベルトをするとともに、自転車ではヘルメットを着用させ、短時間でも子どもを乗せたまま自転車から離れないようにしましょう。

 

②すべりやすいところ

 お風呂場の床、水で濡れているキッチンや洗面所などは危険です。床に水がこぼれたらすぐふきとるようにしましょう。お風呂場にはすべり止めのマットがあると安全です。
 歩き始めの赤ちゃんに靴下やスリッパをはかせたり、長めのズボンを着せるとすそをひきずってすべる危険が大きくなります。
 床の上に新聞紙や電気コードなどが出しっぱなしになっていると、足にひっかけたり、つまずいて転ぶ原因になりますので、床は整理整頓しましょう。また、赤ちゃんを抱いているときは、お母さんは足元に注意しましょう。

 

③段差のあるところ

 赤ちゃんはわずかの段差でもつまずいて転んでしまいます。お風呂や玄関、部屋からベランダへの段差には注意が必要です。玄関や台所のマットなども危険ですので、赤ちゃんが小さいうちは、できれば取りはずしておいたほうが安全です。床にじゅうたんやマットを敷く場合、部屋の全面にひく方が安全です。コルクマットは滑りにくく、クッション性にすぐれているので、後ろに倒れたり転んだりしても衝撃を吸収します。

 

もし転落・転倒がおこったら!!

 転落や転倒によって打撲をした場合には、動かして痛みがなければ、患部を冷やしてしばらく様子を見ます。患部の腫れが徐々にひいてくるようであればあまり心配しなくても大丈夫です。
 打撲をした患部が内出血により紫色に腫れ上がっていたり、変形や激しい痛みがある場合には、患部を冷やしながら、病院を受診しましょう。

 

<頭部の打撲の応急処置>

 頭部を打撲し出血がみられる時は、傷口をガーゼで閉じるようにしておさえて圧迫して止血します。また腫れていたら冷やしながら安静にして様子を見ます。頭部を打った後、すぐに大声で泣きだし、しばらくして機嫌もよくなり食欲もある場合にはそれほど心配はありません。
 呼びかけに反応がなかったり、嘔吐やけいれんがみられる場合には救急受診が必要です。また、頭部を打った場合は後から遅れて意識障害などの症状が出ることがありますので、数日間(特に頭を打ったあとの48時間)は子どもの様子を注意深く観察し、不機嫌や元気がないなどの状態が続く時には病院に連れて行きましょう。

 

さいごに

 

 子どもにはけががつきもので、子どもは小さなけがを経験しながら大きくなっていきます。子どもの好奇心や冒険心は成長には欠かせません。子どもが自分の危険を自分でわかるようになるまで、お子さんのそばで、成長を見守ってくださいね。


ではまた。  By ばぁばみちこ