【連載 ばぁばみちこコラム】第四回 こどもの事故―異物誤飲―子どもの口は発達のためのセンサーの一つです 広島市民病院 総合周産期母子医療センター 元センター長 林谷 道子

 赤ちゃんはお母さんのお腹の中で、妊娠14週頃から手を口に持っていき、妊娠24週頃には指しゃぶりをするようになります。これはお腹の中で母乳を飲むための練習をしているのです。

 産まれた直後の赤ちゃんの指にSucking blisterという水疱やつぶれたかさぶたがみられることがあります。これはお腹の中での指しゃぶりのなごりです。

 赤ちゃんは生後2~4か月になると、口のそばにあるものを無意識に吸うようになり、目と手の協調運動を覚える5か月頃には、何でも口に持っていくようになります。

 食べ物以外のものを飲み込んでしまうことを「異物誤飲」と呼んでいます。

 

 厚生労働省医薬・生活衛生局からの報告によれば、平成24年度から26年の3年間の家庭用品による子どもの誤飲事故は1273件で、1日1件以上の異物誤飲が起こっています。

 年齢別の誤飲事故件数は、周りの物に対する好奇心が芽生え、お座りやはいはいができるようになる6~11か月が391件と最も多く、この年齢での誤飲は全体の約30%を占めています。

 

 

 子どもの誤飲事故の原因となる家庭用品では、「タバコ」が265件で最も多くを占めています。次いで「医薬品・医薬部外品」「プラスチック製品」の順で、上位10品目の誤飲事故件数は全体の85%近くに及びます。

 

 

 異物の誤飲は、子どもの手の届くところに危険なものを置かないことによって予防が可能です。
 万が一、誤飲した場合には原因となったものを特定し、吐かせていいものはうつぶせで頭を低くして指で喉の奥を刺激して吐き出させます。

 

 

タバコの誤飲の注意点

毒性 ニコチンとして
小児致死量 10~20mg(約タバコ1本)
症状発現時間

タバコ誤飲後30分~4時間以内
タバコを浸した缶のジュースや水などを摂取した場合は15分以内

高濃度の場合は5分以内に死亡

症状 嘔気、嘔吐、下痢、めまい、頻脈、顔面蒼白、
重篤な症状としては痙攣、昏睡、呼吸停止
血圧上昇、心拍数の増加、不整脈

タバコの浸出液を摂取した時やタバコを1/4本以上食べたおそれのある場合は、すぐに胃洗浄

少量摂取の場合4時間程注意深く観察して顔色が青くなってぐったりしたり、吐いたりしたら病院を受診

水などに溶けだしたニコチンは最も危険

ボタン電池の誤飲の注意点

 ボタン電池は小型機器に使用され、家庭にたくさんあり、誤飲の報告が増加しています。

 現在多く販売され、問題になるボタン電池はアルカリ電池とリチウム電池の2種類です。

 ボタン電池の種類を見分ける指標は表面に書いてあるLR44、CR2032などの型番です。2番目のローマ字は電池の形を示し、ボタン電池はすべてR (round)で、円形の電池を示しています。最初のローマ字が電池の種類で、「L」はアルカリ電池、「B」「C」「G」はリチウム電池を示しています。

 
 アルカリ電池は、胃酸で電池の金属が腐食し、流れ出るアルカリ性の物質で胃の壁が損傷します。また、最近多用されているリチウム電池は、放電によって液体ができるため、30分から1時間という短時間でも消化管の壁に潰瘍を作り、また、電池の寿命がきれるまで一定の電圧が維持されるため、アルカリ電池よりもさらに危険です。

 

 ボタン型電池を万一飲み込んだ時には、急いで取り出す必要があります。

 とくにリチウム電池は一般に直径が大きく、食道にひっかかると、圧迫によって食道穿孔を起こす可能性もあります。

 食道から胃までの範囲にあれば、マグネット付きカテーテルで取り除くことができます。十二指腸まで流れれば、その後の腸管の流れはスムーズで1ヶ所に止まっていなければ、放電中のリチウム電池でも大きな害は出ないと考えられます。

さいごに

 子どもの好奇心は発達にとってとても大切です。子どもは何でも試しながら成長していきます。赤ちゃんが寝がえりを始めたら、危険なものは赤ちゃんの手の届かないところに置いてくださいね。

 

また、万が一 誤飲により事故が発生した場合には、

公益財団法人日本中毒情報センターに問い合わせすることができます。

 

連絡先(TEL):大阪中毒110番072-727-2499 (24時間対応)

       つくば中毒110番029-852-9999 (9時~21時対応)

 

ではまた。   By ばぁばみちこ