障害児者施設勤務の1年生 重症児・者福祉医療施設原副院長、広島市立舟入市民病院小児科 兵藤純夫

 皆様、こんにちわ。昨年4月から重症児・者福祉医療施設原で勤務を始めました。小児神経科医として外来では多くの重心の患者さんと接していましたが、いざ施設に浸ってみますとカルチャーショックというか、急性期病院との違いに戸惑い、ようやく慣れてきたところです。

 

 その相違のいくつかを挙げてみますと、まず医療設備。急性期病院では電子カルテは当たり前。エコー、CT、MRIなども最新の機器を用いて診断をつけ、様々なメディカルスタッフがサポートしてくれますが施設では最低限の機器で自らしなければなりません。入院・入所患者さんの構成も下は2歳から上は70歳過ぎまで・・これは本当に小児科医の担当?早速、糖尿病、高脂血症、高血圧・・と最新の成人病の知識を得る勉強をさせてもらいました。お話のできない乳幼児が初診しても小児科医は当たり前のように診断、治療を行なえますが、調子の悪そうな重心のお年寄りを前にすると、「どこの調子が悪いの?痛いの?お願い喋って」なんて思います。急性期病院の診療では病気を治すこと、制御することにエネルギーを費やし、患者さんの家庭や生活にまで十分配慮する余裕はなかなかありませんでした。振り返ってみれば勤務医は医療・福祉制度については断片的な知識しか持っていないなと思います。施設では医療・福祉サービスをいかに上手に利用してもらうかが重要な項目なので様々な制度の知識が必要になりました。

 

 さて、施設では医療的ケアの軽度な方が多いと生活支援が主な仕事になり、スタッフが最新の医療情報に接し経験する機会が乏しくなります。井の中の蛙、何とやらで、同業の施設との交流だけでなく、閉じこもらず急性期病院との交流、研修を行うことでスタッフの意欲を高めることができるのではと最近感じています。また、地域生活支援協議会や守る会の皆様とお会いする機会が増え、在宅で過ごされている重心の方の日常を知るようになりました。複雑な制度を上手に利用し、家庭を切り盛りする保護者の姿には感銘さえ受けました。施設として入所者の生活・医療支援は当然ですが、在宅児者の支援も重大な使命だと感じています。外にも目を向けながら少しずつ施設の充実を図っていきたいと考えています。